Tegafur
| エビデンスレベル: L1 | 予測適応症: 10 件 |
目次
テガフール:既存適応症データなしから大腸腫瘍へ
一言要約
テガフールは 5-FU のプロドラッグで、UFT やティーエスワン配合剤の成分として日本で市販されています。ただし今回のデータには、承認適応症の文言が含まれていません。 TxGNN モデルは大腸腫瘍 (Colonic Neoplasm) に有効である可能性を予測しています。現在、30 件の臨床試験(完了した Phase 3 は 6 件)と 20 編の文献がこの方向性に関連しています。
クイック概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 予測新規適応症 | 大腸腫瘍 (Colonic Neoplasm) |
| TxGNN 予測スコア | 99.90% |
| エビデンスレベル | L1 |
| 日本市販状況 | ✓ 市販中 |
| 承認番号数 | 6 件 |
| 推奨決定 | Proceed with Guardrails |
この予測が妥当である理由
現在、詳細な作用機序データはありません。ただし、テガフールは経口の 5-フルオロウラシル (5-FU) プロドラッグで、主に肝臓の CYP2A6 で 5-FU に変換されます。生成された 5-FU がチミジル酸合成酵素を阻害し、腫瘍細胞の DNA/RNA 合成を妨げると考えられます。これが大腸癌への適用を機序面から支えています。
大腸癌は 5-FU 系薬剤が標準的に使われてきた領域です。収集された文献では、UFT/LV(テガフール・ウラシル + ロイコボリン)が日本で結腸癌の標準的な術後補助化学療法の一つとして広く使われていると述べられています(PMID 26347106)。関連する試験も、UFT 単独、UFT/LV、S-1(テガフール含有配合剤)と多様です。
なお、日本の承認適応症の文言がデータに含まれていないため、大腸癌がすでに承認範囲に入っているかは本レポートでは確認できません。
臨床試験エビデンス
以下は主に試験デザインの要約で、結果の数値ではありません。
| 試験番号 | フェーズ | 状態 | 被験者数 | 主な知見 |
|---|---|---|---|---|
| NCT00392899 | Phase 3 | 完了 | 2025 | 根治切除後 Stage II 結腸癌における UFT 補助化学療法 vs 経過観察 |
| NCT00378716 | Phase 3 | 完了 | 1608 | Stage II/III 結腸癌における UFT/LV vs 5-FU/LV |
| NCT00660894 | Phase 3 | 完了 | 1535 | Stage III 結腸癌における UFT+LV vs TS-1(S-1)の補助療法 |
| NCT00152230 | Phase 3 | 完了 | 900 | Dukes C 大腸癌における術後 UFT vs 手術単独 |
| NCT00905047 | Phase 3 | 完了 | 89 | 進行・転移性大腸癌における Xeloda と UFT/フォリン酸の患者選好クロスオーバー比較 |
| NCT03448549 | Phase 3 | 不明 | 1191 | Stage III 大腸癌の補助療法における SOX(S-1+オキサリプラチン)vs XELOX |
| NCT00385970 | Phase 3 | 不明 | 380 | Stage IIB/III 大腸癌における UFT+PSK vs UFT+LV |
| NCT00497107 | Phase 3 | 不明 | 300 | Stage IIIa/IIIb 大腸癌における UFT/LV vs UFT/LV+PSK(3 年 DFS) |
| NCT02836977 | 該当なし | 不明 | 400 | Stage III 結腸癌のオキサリプラチン系補助療法後における維持テガフール・ウラシル vs 経過観察 |
| NCT01225744 | Phase 2 | 完了 | 47 | 転移性大腸癌の一次治療におけるセツキシマブ、イリノテカン、オキサリプラチン、UFT の併用 |
文献エビデンス
| PMID | 年 | タイプ | ジャーナル | 主な知見 |
|---|---|---|---|---|
| 31917122 | 2020 | RCT | Clin Colorectal Cancer | 高リスク Stage III 結腸癌の術後補助療法で、SOX の UFT/LV に対する優越性を検証した Phase III(ACTS-CC 02) |
| 33714860 | 2021 | RCT | ESMO Open | ACTS-CC 02 の 5 年最終解析。SOX は DFS で UFT/LV に優越せず、全生存期間 (OS) と病期別のサブグループ解析を報告 |
| 38833114 | 2024 | RCT | Int J Clin Oncol | 再発リスク因子を持つ Stage II 結腸癌で、UFT/LV 補助療法を傾向スコア法で評価した最終解析(JFMC46-1201)。先行報告では手術単独より 3 年 DFS が有意に高い |
| 16648506 | 2006 | 第 III 相試験 | J Clin Oncol | Stage II/III 結腸癌で、経口 UFT+LV と静注 FU+LV の DFS・OS を比較(NSABP C-06) |
| 26347106 | 2015 | 第 III 相 RCT | Ann Oncol | Stage IIB/III 結腸癌における UFT/LV 補助療法の最適な投与期間(JFMC33-0502) |
| 33950962 | 2021 | コホート研究 + メタ解析 | Medicine | 台湾の全国健保データで、Stage II/III 結腸癌の術後補助療法における UFT と 5-FU の DFS・OS を比較 |
| 35168560 | 2022 | 前向き観察研究 | BMC Cancer | 高リスク Stage II 結腸癌で、UFT/LV 併用と手術単独を傾向スコアマッチングで比較 |
| 17952521 | 2007 | Review | Surg Today | 肺・胃・大腸・乳房の固形癌における術後補助療法としての UFT の臨床エビデンス、作用機序、今後の方向性 |
| 25209093 | 2014 | Review | Clin Colorectal Cancer | 転移性大腸癌の国際ガイドラインをアジア向けに適合させたコンセンサス |
| 11155922 | 2000 | Phase II 試験 | Jpn J Clin Oncol | 転移性大腸癌の一次治療における経口テガフール・ウラシル + フォリン酸(台湾での経験) |
日本市販情報
全 6 件の承認番号のうち、主要な 5 件を記載します。承認適応症の文言はデータに含まれていません。
| 承認番号 | 商品名 | 剤形 |
|---|---|---|
| 620009353 | ティーエスワン配合顆粒T20 | 顆粒(テガフール相当量 20 mg) |
| 620009354 | ティーエスワン配合顆粒T25 | 顆粒(テガフール相当量 25 mg) |
| 621929901 | ユーエフティE配合顆粒T100 | 顆粒(テガフール相当量 100 mg) |
| 620915001 | ユーエフティ配合カプセルT100 | カプセル(テガフール相当量 100 mg) |
| 621930001 | ユーエフティE配合顆粒T150 | 顆粒(テガフール相当量 150 mg) |
細胞毒性
DrugBank の toxicity データは取得できていないため、以下は薬物分類に基づく一般的な整理です。詳細は添付文書の警告および注意事項を参照してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 細胞毒性分類 | 従来型細胞毒性薬(フルオロピリミジン系、5-FU プロドラッグ) |
| 骨髄抑制リスク | 中程度(文献に UFT による溶血性貧血の症例報告あり:PMID 11320674) |
| 催吐性分類 | 低度(経口フルオロピリミジン系の一般的な分類) |
| モニタリング項目 | CBC(分画含む)、肝腎機能。DPYD 遺伝子型検査の導入を検討した試験あり(NCT05266300) |
| 取り扱い防護 | 細胞毒性薬取り扱い規程に従う必要あり |
安全性に関する考慮事項
安全性情報については添付文書を参照してください。
結論と次のステップ
決定:Proceed with Guardrails
理由: 完了した Phase 3 試験が複数あり、UFT/LV や S-1 による大腸癌補助療法の試験が日本を中心に蓄積されているため、エビデンスレベルは L1 です。一方、日本の添付文書の警告・禁忌が未確認で、作用機序データと承認適応症の文言も欠けています。安全性の最終確認ができていないため、条件付きの推進としました。
進める場合に必要なもの:
- PMDA 添付文書の警告・禁忌の取得と確認(安全性スクリーニングを進めるうえでの必須項目)
- 承認適応症の文言の確認(大腸癌がすでに承認範囲かどうかの判断)
- DrugBank からの作用機序 (MOA) データ補完
- DPYD 欠損など特定集団の安全性モニタリング計画
その他の予測適応症(参考):
- 盲腸疾患 (L4) は、盲腸癌・虫垂癌の症例報告のみです。広い病名で範囲が曖昧なため、研究課題として扱います。
- 直腸 S 状部移行部腫瘍 (L4) は、有害事象の症例報告 1 件のみで、有効性の根拠にはなりません。
- 盲腸絨毛腺腫、盲腸神経内分泌腫瘍 G1、結腸脂肪腫、結腸平滑筋腫、盲腸良性腫瘍、結腸リンパ管腫、結腸海綿状血管腫はいずれも L5 で、機序上も 5-FU 系化学療法の適用は考えにくく、Hold としました。
本レポートは研究参考用で、医療上の助言ではありません。老藥新用の候補は、臨床的な検証を経て初めて適用できます。
免責事項
本コンテンツは研究目的のみであり、医療アドバイスを構成するものではありません。 臨床応用の前に臨床的検証が必要です。