Sulpiride
| エビデンスレベル: L4 | 予測適応症: 9 件 |
目次
スルピリド:うつ病・統合失調症・胃十二指腸潰瘍から網膜ジストロフィーへ
一言要約
スルピリドはドパミン D2/D3 受容体拮抗薬で、元々統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍の治療に使用されていました。 TxGNN モデルは網膜ジストロフィー(retinal dystrophy with or without extraocular anomalies)に有効である可能性を予測しています。 ただし、裏付けは動物実験 2 編のみで、臨床試験は登録されていません。
クイック概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 既存適応症 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
| 予測新規適応症 | 網膜ジストロフィー(retinal dystrophy with or without extraocular anomalies) |
| TxGNN 予測スコア | 99.95% |
| エビデンスレベル | L4 |
| 日本市販状況 | 販売中の承認なし(20 件すべて承認整理済み) |
| 承認番号数 | 20 件 |
| 推奨決定 | Hold |
この予測が妥当である理由
スルピリドはドパミン D2 および D3 受容体に選択的な拮抗薬です。D4 受容体への親和性は低いとされています。今回まとめたデータには、詳細な作用機序の記載はありません。ここでの説明は薬理学的な標的情報に基づきます。
網膜ではドパミン D2 様受容体の信号が神経節細胞の光応答を調節しています。網膜色素変性のモデルであるP23Hラットでは、スルピリドなどの D2 拮抗薬が、神経節細胞の光感受性を高める可能性が示されています。また、異常な長潜時の ON 型細胞を OFF 型細胞に変える可能性も示されています。
ただし、これは前臨床での間接的な機序の裏付けにとどまります。ヒトの網膜ジストロフィーでの有効性を示すデータはありません。予測の大部分は TxGNN モデルによるものと考えるべきです。
なお、予測順位 2〜9 位(水頭無脳症、シャルコー・マリー・トゥース病 1G 型、近視関連疾患など)には、臨床試験も文献もありません。近視は網膜ドパミン信号との緩やかな理論的関連がありますが、いずれもモデル予測のみ(L5)です。
文献エビデンス
| PMID | 年 | タイプ | ジャーナル | 主な知見 |
|---|---|---|---|---|
| 27788033 | 2016 | 動物実験 | J Ocul Pharmacol Ther | P23H ラット網膜色素変性モデルで、D2 拮抗薬のスルピリドとエティクロプリドが神経節細胞の視覚応答を改善する可能性が示された。この研究では、典型的抗精神病薬のハロペリドールと非定型のクロザピンの効果も検証された。 |
| 26717015 | 2015 | 動物実験 | PLoS One | 野生型および P23H ラットの網膜で、D2 様受容体拮抗薬が神経節細胞の光応答に与える影響を細胞外記録で検討した。 |
日本市販情報
現在、有効な承認はなく、20 件すべてが承認整理済みです。主な承認は以下のとおりです。
| 承認番号 | 商品名 | 剤形 | 承認適応症 |
|---|---|---|---|
| 620002520 | スルピリド細粒10%「アメル」 | 細粒 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
| 620009328 | スルピリド錠100mg「トーワ」 | 錠 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
| 671170249 | ドグマチール錠100mg(選) | 錠 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
| 612320199 | ドグマチール細粒10% | 細粒 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
| 622734000 | スルピリド50mg錠 | 錠 | 統合失調症、うつ病・うつ状態、胃・十二指腸潰瘍 |
安全性に関する考慮事項
- 薬理学的標的:D2/D3 受容体に加え、炭酸脱水酵素(CA1、CA7、CA12)との相互作用が薬理学データに示されています。具体的な併用禁忌・併用注意の薬剤情報は、今回まとめたデータにはありません。
警告・禁忌については、添付文書を参照してください。
結論と次のステップ
決定:Hold
理由:
- 網膜ジストロフィーについては動物実験 2 編のみで、ヒトでの臨床試験や臨床研究はありません。
- 日本では有効な承認が残っていません。
- 添付文書の警告・禁忌が未確認で、安全性評価を進められません。
進める場合に必要なもの:
- 添付文書(PMDA)の警告・禁忌の確認(安全性評価の前提となる必須事項)
- 詳細な作用機序データの補充
- 網膜疾患に対するヒトでのデータ(症例報告、観察研究、早期臨床試験)の収集
- 網膜への薬物到達性と投与経路(全身投与か局所投与か)の検討
- 日本での販売状況の再確認(承認整理済みの経緯を含む)
免責事項
本コンテンツは研究目的のみであり、医療アドバイスを構成するものではありません。 臨床応用の前に臨床的検証が必要です。