Oxaliplatin

エビデンスレベル: L5 予測適応症: 4 件

目次

  1. Oxaliplatin
  2. オキサリプラチン:白金系抗悪性腫瘍薬から悪性胸膜中皮腫へ
    1. 一言要約
    2. クイック概要
    3. この予測が妥当である理由
    4. 臨床試験エビデンス
    5. 文献エビデンス
    6. 日本市販情報
    7. 細胞毒性
    8. 安全性に関する考慮事項
    9. 結論と次のステップ
    10. 免責事項

## 薬剤師評価レポート

オキサリプラチン:白金系抗悪性腫瘍薬から悪性胸膜中皮腫へ

一言要約

オキサリプラチンは白金系の抗悪性腫瘍薬で、日本ではエルプラット点滴静注液として市販されています。ただし、Evidence Pack には承認適応症の記載がありません。 TxGNN モデルは悪性胸膜中皮腫 (malignant pleural mesothelioma) に有効である可能性を予測しています。この方向性を支持するのは 6 件の臨床試験と 20 編の文献ですが、いずれも第 II 相の単群試験や観察研究が中心で、第 III 相 RCT はありません。

クイック概要

項目 内容
予測新規適応症 悪性胸膜中皮腫 (malignant pleural mesothelioma)
TxGNN 予測スコア 99.68%
エビデンスレベル L3(第 II 相の単群試験・観察研究のみで RCT なし)
日本市販状況 ✓ 市販中
承認番号数 6 件
推奨決定 Hold

※ 入力データ側の評価は L2 でした。判定ルール(L2 は完了した Phase 2/3 の RCT が必要)に照らすと、該当する RCT がないため L3 としています。

この予測が妥当である理由

オキサリプラチンは DNA に白金付加体と架橋を形成し、DNA 複製と転写を阻害してアポトーシスを誘導します。悪性胸膜中皮腫で既に使われている白金系薬剤(シスプラチンなど)と同じ作用機序です。現在、DrugBank の詳細な作用機序データは取得できていません。上記の機序は Evidence Pack の再利用根拠の記述に基づきます。

悪性胸膜中皮腫の標準治療はペメトレキセドと白金製剤の併用です。オキサリプラチンは、ゲムシタビン、ビノレルビン、ラルチトレキセドなどとの併用で第 II 相試験が複数報告されています。ただし、標準治療に対する優位性を示すデータはありません。位置づけは「標準治療が使えない、または効果が不十分な場合の代替候補」にとどまります。

同じ予測群には、類上皮型中皮腫(スコア 99.49%、L3)、肉腫型中皮腫(スコア 99.44%、L4)、悪性臓側胸膜腫瘍(スコア 99.26%、L5)もあります。これらは主に腹膜中皮腫での HIPEC や PIPAC の報告に基づく間接的な根拠で、胸膜での直接的な臨床データはありません。

臨床試験エビデンス

試験番号 フェーズ 状態 被験者数 主な知見
NCT00859469 Phase 2 完了 29 胸膜・腹膜中皮腫の一次または二次治療におけるオキサリプラチン+ゲムシタビンの奏効率を評価
NCT00996385 Phase 2 不明 29 前治療のある胸膜・腹膜中皮腫でのボルテゾミブ+オキサリプラチン(最大 6 サイクル)
NCT03210298 N/A 不明 1000 腹膜・胸膜悪性疾患に対する PIPAC/PITAC の国際レジストリ(オキサリプラチン使用例を含む。腹膜が中心)
NCT05107674 Phase 1 募集中 345 CBL-B 阻害薬 NX-1607 の進行悪性腫瘍での安全性試験(オキサリプラチンは間接的)
NCT07532902 Phase 1 募集中 60 MTAP 欠損固形癌での BMS-986504 と標準治療の併用(中皮腫に特化せず、間接的)
NCT06310473 Phase 2 募集前 30 食道胃接合部癌・胃癌での術前カドニリマブ+化学療法(対象疾患が異なり、参考程度)

直接関連するのは上位 2 件のみで、いずれも被験者数 29 名の小規模な第 II 相試験です。

文献エビデンス

PMID 年 タイプ ジャーナル 主な知見
12525529 2003 第 II 相試験 J Clin Oncol びまん性悪性胸膜中皮腫 70 例(既治療 15 例、未治療 55 例)でラルチトレキセド+オキサリプラチンの活性を評価
14609447 2003 第 II 相試験 Clin Lung Cancer 25 例でゲムシタビン+オキサリプラチンを最大 6 サイクル投与した多施設試験
15639727 2005 第 II 相試験 Lung Cancer 未治療例でビノレルビン+オキサリプラチンを最大 6 サイクル投与した一次治療試験
11989592 2001 パイロット試験 Tumori 切除不能例でオキサリプラチン+ラルチトレキセドを評価
19091133 2008 観察研究 J Occup Med Toxicol ペメトレキセド既治療例でのオキサリプラチン(±ゲムシタビン)の有効性と安全性を検討
12610498 2003 レビュー Br J Cancer 悪性胸膜中皮腫の化学療法の総説。従来の細胞傷害性薬剤では奏効率 30% 超は稀とされる
15261443 2004 レビュー Lung Cancer 上記総説の更新版。新規薬剤と併用療法がやや有望と整理
12601280 2003 レビュー Curr Opin Oncol ペメトレキセド+白金製剤で奏効率最大 45%、ラルチトレキセドも有望と整理
11836672 2002 レビュー Semin Oncol 抗葉酸薬併用として、ペメトレキセド/シスプラチンとラルチトレキセド/オキサリプラチンを紹介
31455014 2019 レビュー(基礎研究含む) Int J Mol Sci オキサリプラチンなどが免疫チェックポイント発現に与える影響を検討し、免疫療法との併用設計を考察

RCT はありません。オキサリプラチン併用の第 II 相試験が複数あるため、活性の可能性は示唆されます。ただし、標準治療との直接比較データはありません。

日本市販情報

承認番号 商品名 剤形
621932301 エルプラット点滴静注液100mg 20mL 注液100mg 20mL
671932301 エルプラット点滴静注液100mg 20mL(選) 注液100mg 20mL(選)
672189401 エルプラット点滴静注液200mg 40mL(選) 注液200mg 40mL(選)
621932201 エルプラット点滴静注液50mg 10mL 注液50mg 10mL
622189401 エルプラット点滴静注液200mg 40mL 注液200mg 40mL

承認番号は全 6 件で、主要な 5 件を記載しています。承認適応症のテキストは Evidence Pack に含まれていません。

細胞毒性

項目 内容
細胞毒性分類 従来型細胞毒性薬(白金系、DNA 架橋形成)
骨髄抑制リスク 添付文書の警告および注意事項を参照してください
催吐性分類 中等度(薬物カテゴリに基づく)
モニタリング項目 CBC(分画含む)、肝腎機能、電解質、神経症状の観察
取り扱い防護 細胞毒性薬取り扱い規程に従った防護(手袋、ガウン等)が必要

安全性に関する考慮事項

安全性情報については添付文書を参照してください。

結論と次のステップ

決定:Hold

理由: 悪性胸膜中皮腫については、小規模な第 II 相試験と観察研究しかなく、標準治療に対する優位性は示されていません。また、日本の添付文書の警告・禁忌が未取得で、安全性スクリーニング(S1)に進めない状態です。

進める場合に必要なもの:

  • PMDA の添付文書(警告、禁忌、承認適応症)の取得と内容確認
  • DrugBank からの作用機序データの補完
  • ペメトレキセド+白金製剤との比較データ、または第 III 相 RCT の有無の調査
  • 完了済み試験 NCT00859469 の結果(奏効率・安全性)の確認
  • 腹膜中皮腫(HIPEC/PIPAC)のデータを胸膜に外挿できるかの検討

    免責事項

本コンテンツは研究目的のみであり、医療アドバイスを構成するものではありません。 臨床応用の前に臨床的検証が必要です。



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