Goserelin

エビデンスレベル: L5 予測適応症: 3 件

目次

  1. Goserelin
  2. ゴセレリン:無月経(化学療法に伴う卵巣機能不全の予防)への再利用評価
    1. 一言要約
    2. クイック概要
    3. この予測が妥当である理由
    4. 臨床試験エビデンス
    5. 文献エビデンス
    6. 日本市販情報
    7. 安全性に関する考慮事項
    8. 結論と次のステップ
    9. 免責事項

## 薬剤師評価レポート

ゴセレリン:無月経(化学療法に伴う卵巣機能不全の予防)への再利用評価

一言要約

ゴセレリンは GnRH アゴニストで、日本では「ゾラデックス」として 3 製剤が市販されています。ただし、Evidence Pack には既存適応症の記載がありません。 TxGNN モデルは無月経 (amenorrhea) を最上位に予測しています。実際の内容は「無月経の治療」ではなく、化学療法中の卵巣保護・卵巣機能抑制で、無月経は治療中に起きる効果であり評価指標でもあります。 この方向性を 7 件の臨床試験と 19 編の文献が支持しており、完了済みの Phase 3 試験が 3 件あります。

クイック概要

項目 内容
予測新規適応症 無月経 (amenorrhea)。実質は化学療法中の卵巣保護・卵巣機能抑制
TxGNN 予測スコア 99.99%(順位 141 位)
エビデンスレベル L1(完了した Phase 3 試験 3 件)
日本市販状況 ✓ 市販中
承認番号数 3 件
推奨決定 Proceed with Guardrails

この予測が妥当である理由

ゴセレリンは GnRH アゴニストで、下垂体-性腺軸を抑制し、可逆的な卵巣機能の休止を引き起こします。DrugBank の作用機序 (MOA) フィールドは未取得ですが、この作用は文献でも確認されています。

無月経はこの作用の結果として現れる現象です。そのため本予測は、抗癌化学療法を受ける閉経前女性の卵巣を保護する用途(早発閉経・卵巣不全の予防)と、月経を止める目的での卵巣抑制に限って妥当と考えられます。文献にも、乳癌の術後療法での卵巣抑制、子宮内膜症、思春期の重度子宮出血での月経抑制といった使用例があります。

一方、卵巣機能がすでに失われた早発卵巣不全に対しては、ゴセレリンによるゴナドトロピン抑制で回復しなかったという報告があります(PMID 2522795)。適用範囲は「予防・抑制」に限定する必要があります。

臨床試験エビデンス

試験番号 フェーズ 状態 被験者数 主な知見
NCT00068601 Phase 3 完了 257 ホルモン受容体陰性の早期乳癌で、化学療法中の LHRH アナログ投与による卵巣不全予防を検証
NCT00427245 Phase 3 完了 400 OPTION 試験。閉経前乳癌の化学療法中、ゴセレリンによる早期閉経予防をゴセレリンなしと比較
NCT02483767 Phase 3 完了 98 閉経前乳癌の化学療法中、ゴセレリンによる卵巣機能温存を 1:1 無作為化で検証
NCT03475758 Phase 2 不明 100 シクロホスファミド含有化学療法中のゴセレリンによる卵巣保護(月経転帰)
NCT02132390 Phase 3 不明 300 閉経前ホルモン受容体陽性乳癌で、トレミフェンにゴセレリンを併用する場合と併用しない場合を比較。無月経は主目的ではない
NCT01218581 Phase 2/3 完了 32 子宮腺筋症でアロマターゼ阻害薬と GnRH アゴニストを比較。疾患は異なるが月経抑制が関連する
NCT00488722 該当なし 不明 不明 ゾラデックス 3.6 mg と CEF 化学療法の術前併用の単群試験。無月経・卵巣機能の評価項目は確認できない

文献エビデンス

PMID 年 タイプ ジャーナル 主な知見
17159194 2007 RCT J Clin Oncol IBCSG Trial VIII。化学療法、ゴセレリン、逐次併用の 3 群で、無月経・ほてり・QOL を比較
12488406 2002 RCT J Clin Oncol ZEBRA 試験。閉経前のリンパ節転移陽性乳癌で、ゴセレリンと CMF を術後療法として比較
14679153 2003 RCT J Natl Cancer Inst リンパ節転移陰性の閉経前乳癌で、化学療法後のゴセレリン逐次併用と各単独療法を比較
8513962 1993 RCT Fertil Steril 子宮内膜症の骨盤痛で、ゴセレリンと低用量経口避妊薬を比較
28472240 2017 Cohort Ann Oncol OPTION 試験。早期乳癌の化学療法中の GnRH アゴニストによる早発卵巣不全リスク低減を検証
25187267 2015 Cohort Cancer Res Treat 化学療法による無月経がない II/III 期ホルモン受容体陽性乳癌で、ゴセレリンによる卵巣抑制の生存への効果を評価
12353820 2002 Review Breast Cancer Res Treat LHRH アゴニストによる可逆的卵巣機能抑制の概説。ゴセレリンは乳癌で最も研究が進んだ LHRH アゴニスト
12734855 2003 Review Br J Surg 閉経前・閉経周辺期乳癌の術後療法における卵巣抑制の方法と意義
1533675 1992 Review J R Army Med Corps 無月経の誘導法。ゴセレリンの有効性に言及
2522795 1989 未分類 Br J Obstet Gynaecol 早発卵巣不全の女性 12 名でゴセレリンによるゴナドトロピン抑制を検討。卵巣不全は回復しなかった

日本市販情報

承認番号 商品名
642490105 ゾラデックス3.6mgデポ(ゴセレリンとして)
640443027 ゾラデックス1.8mgデポ(ゴセレリンとして)
640462004 ゾラデックスLA10.8mgデポ(ゴセレリンとして)

安全性に関する考慮事項

安全性情報については添付文書を参照してください。

結論と次のステップ

決定:Proceed with Guardrails

理由: 化学療法中の卵巣保護について、完了した Phase 3 試験が 3 件あり、エビデンスレベルは L1 です。ただし、無月経は治療対象の疾患ではなく作用の結果であり、適用は「閉経前女性の化学療法中の卵巣保護・卵巣抑制」に限定すべきです。

なお、TxGNN の 2 位・3 位の予測(腎低形成、両側腎低形成)は、臨床試験も文献もなく、機序的な関連も知られていないため、Hold(L5)とします。

進める場合に必要なもの:

  • PMDA の添付文書から警告・禁忌を取得する(現状は安全性スクリーニングを進められないブロッキング項目)
  • DrugBank から作用機序 (MOA) を取得し、機序面の裏付けを補う
  • 日本の承認適応症(承認番号ごとの効能・効果)を確認し、適用範囲との関係を整理する
  • 薬物相互作用の照会結果が 0 件(not_found)のため、再照会して確認する
  • 剤形・投与経路の適合性を確認する
  • 適用対象を「化学療法中の卵巣保護・卵巣抑制」に限定する運用条件を明記する

なお、本結果は研究参考用であり、医療上の助言ではありません。予測される適応症は臨床的な検証を経て初めて実用に供されます。

免責事項

本コンテンツは研究目的のみであり、医療アドバイスを構成するものではありません。 臨床応用の前に臨床的検証が必要です。



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